ご挨拶

大会長 藤田茂之
第17回 日本口腔顎顔面外傷学会総会・学術大会
大会長  藤田 茂之
(和歌山県立医科大学医学部 口腔顎顔面外科学講座 教授)

 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素より日本口腔顎顔面外傷学会会員の皆様に格別のご高配を賜り、心から厚く御礼申し上げます。今回、第17回日本口腔顎顔面外傷学会総会・学術大会を主催させて頂くことになりました。開催にあたり大会長としてご挨拶申し上げます。

和歌山市は関西空港から1時間弱に位置する中核市となり、周辺にはユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産として登録された霊峰高野山や熊野三山がございます。
高野山は和歌山市から車で約1時間の山間部に位置し、平安時代に弘法大師空海が修行の場として開いた、比叡山と並び称される日本仏教における聖地であります。また熊野三山は 和歌山市から車で約2時間の紀伊山地の東南部にあり、相互に20~40㎞の距離を隔てて位置する「熊野本宮大社」、「熊野速玉大社」、「熊野那智大社」、「青岸渡寺」、「補陀洛山寺」からなり、「熊野参詣道中辺路」によって相互に結ばれています。
和歌山県立医科大学は、「若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る」(山部赤人)と万葉集に詠まれた風光明媚な「和歌の浦」に隣接しており、歴史的・文化的にも情緒豊かな地域であります。2015年7月10日(金)の夕べに懇親会が開催される和歌山マリーナシティホテルもこの「和歌の浦」の干潟の入口に位置し、ヨットハーバーや温泉、市場、遊園地を擁するリゾート地域であります。
大会に参加される皆様には、穏やかな和歌山の自然、歴史文化を思う存分楽しんで頂ける事と期待しております。

さて前述の通り、和歌山県は大部分が山間部で占めており、また長い海岸線などの地理的条件により高次医療機関までのアクセス困難な地域が多数存在しているため、当病院屋上には常時ドクターヘリが待機し、救急救命活動を行っております。その運航範囲は、和歌山県下はもとより、奈良県南部、三重県南部を含む広範囲に及び、また、徳島県、大阪府との相互応援協定を結んでおり、緊急要請があれば出動する紀伊半島を中心とした地域の救急救命の拠点になっております。その出動件数は年々増加し2011年は年間出動件数が400件を超え、総出動件数は2003年から2011年末で3,000件を超えております。当科もこの救急救命に卒後研修(後期研修)で2ヶ月間研修させて頂くのみならず、24時間体制で顎顔面外傷症例を扱わせて頂いております。その結果、顎顔面外傷は年間平均40~50例の手術件数を維持しております。一方、他部位の外傷を合併していることが多く、隣接科との連携が重要となります。
そこで、今回の大会テーマは 「全身多発外傷における顎顔面外傷の診断と治療」とさせていただきました。特別講演には、当大学救急集中治療医学講座教授 加藤正哉先生に「顔面外傷診療における救急医の役割と集学的治療」と題した御講演をお願いしております。

短い日程ではございますが、大学医学部、歯学部の口腔外科の皆様はもとより、市中総合病院の歯科口腔外科にて研鑽されておられる皆さんの積極的な問題提起や症例報告、ご討議への参加を心よりお待ちしております。